採用面接に一般企業の10倍の時間をかけたら、合格率0.6%の無理ゲーになった
はじめまして、Praha Inc.の社長兼エンジニア、松原です。
突然ですが「面接」って1社につき何時間かかっていますか?
一般的な企業では1次面接、2次面接、最終面接がそれぞれ1時間ずつ。合計3時間程度ではないでしょうか。
Prahaの面接時間は34時間です。
一体なぜ採用面接にこんなに時間がかかるようになったのか、説明したいと思います。
3時間で何がわかるのか
これまでいろんな面接を受けたり、大手IT企業で面接をする側にも回りましたが「たった3時間でお互いの何がわかるのだろう?」と、いつも不思議でした。
「なんとなく明るいから採用」みたいないい加減な企業もあれば、仔細なチェックリストを設けて真面目に採用面接をしている企業もあると思います。
でも企業側がどんなモチベーションで挑もうと、面接というのは非常に特殊なコミュニケーションの場です。
①自分を徹底的に良く見せようとしている両者が
②好き放題に嘘をつける状況で
③お互いに不信感を与えないよう遠慮しつつ
④相手と長期的な関係を築けるか判断しなければいけない
無理だと思うんです。とても、この手法で一蓮托生の仲間を選べるとは思えないんです。
サラリーマン時代に自分の周りを見ていても、「自分の職場は最高!」と言う人より、同僚や上司を妄想の中でズタズタにしている人の方が多かったので、やっぱりこうした不和を生み出してしまう一般的な面接システムは破綻していると思うのです。
採用するとは、命綱を預けること
前時代的かもしれませんが、僕は社員を信頼する事が社長として最低限の務めだと考えています。事業計画、収支表は誰だって見れるし、給料も全開示しています。会社のカードも使おうと思えば社員なら誰でも使える。ここには書ききれないくらい、悪意を持てば会社にいくらでも損害を与えられる状況です。
「そんなに人を信頼して大丈夫なの?」と聞かれる事もありますが、むしろ信頼できない相手と働いて大丈夫なの?と聞きたい。自分の命綱を預けてもいい相手としか働かない方が、安全ではないでしょうか?互いに疑心暗鬼の相手と働く方が怖くない?と思うのです。
こんな具合に全幅の信頼を置ける相手としか働きたくないと思うからこそ、たった3時間の面接でそんな相手を見つけるのは不可能だと判断して、スパッと一般的な採用フローを否定できたのかもしれません。
もちろん今の事業規模だからこそ可能な考え方だと思うし、まだ僕らの考え方は日が浅く、試されていません。でも今はこんな風に考えています。
ミスマッチの影響は計り知れない
これまた突然ですが、皆さまの職場に悪魔みたいな人は居ませんか。息を吸うように人格攻撃をするわ、隙あらばマウンティングしてくるわ、人の手柄を横取りするわ、上にはペコペコしてる割に下には厳しいわ・・・
多分、大体の会社に1人か2人は居るんじゃないでしょうか。
そして大体の会社が「まぁ、これだけ採用してたら少しはハズレも居るよね」と諦めているのではないでしょうか。
そういう人を一人もPrahaに入れたくないのです。
Prahaにはモノづくりが好きで、向上心が強く、人間的にも素晴らしい仲間が揃っています。その仲間が疲弊した時の損失を考えると、仮にハイパフォーマーでも人間的に誤った人は入れたくないのです。
腐った人を集団に入れると、周りの人も気づかないうちに腐ります。
その影響を過小評価している人が多いように思います。
人間はゆっくり変化する生き物で、外から変化を検知するのは不可能だと考えています。
だから、悪い変化を及ぼす要因は絶対に入れたくない。
だから、採用にはキッチリ時間をかけます。
答えは、試しに一緒に働いてみること
なので既存の採用プロセスを総括すると、こんな状況です:
①ミスった時の影響が計り知れない
②なのにほとんど時間をかけない
③かつ、非常に特殊な探り合いの会話だけで判断しようとする
そこでPrahaではこんな面接を開催しています:
①カジュアル面談(1時間)
②技術面接(1時間)
③最終面接(32時間)
カジュアル面談では、特に変わったことはしません。技術面接も至って普通です。ホワイトボードコーディング、過去の制作物のコードレビュー、ライブコーディングなど、様々な手法を織り交ぜて技術力を確認します。
特徴的なのが最終面接で、これは実際に業務委託契約を締結して、週1程度の頻度で32時間を一緒に働いてもらいます。
今はエンジニア採用面接しか行っていないのですが、この32時間の中では
・Prahaの自社サービスを開発
・Prahaの全エンジニアと一人2時間ずつペアプロ
・全社集会、ミーティングの参加
こんな事をしてもらいます。
Prahaの自社サービスを開発
これはもう単純に開発能力を見るために実施しています。エンジニアの技術力を判断する一番確実な方法は、一緒に働く事です。それ以外に無いと思います。こればかりは誤魔化しが効きません。
また、プルリクでコードだけを見ても「どんな思考でその実装にたどり着いたのか」「他にどんな手段を検討したのか」みたいな裏側の思考は辿れません。なのでこの32時間の間で、Prahaの全てのエンジニアと2時間ずつペアプロをしていただきます。
高い価値を発揮するエンジニアの仕事って、実際にコードを書いてる時間より調査や実装検討の時間が長いですよね。その時間を観察しなくて何を観察するんだろう、という疑問から全エンジニアとのペアプロを通じて思考を辿ろうとしています。
Prahaはフルリモートの会社なので、HangoutやらSkypeやらビデオ会議ツールを使っていただきます。
全社集会、ミーティングの参加
Prahaでは週1回、全社員で集まってミーティングを実施しています。色んな事を話します。自社サービスのエンハンス案、今後の事業計画、今日の夕飯の話・・・そういった会社内の話を、最終面接の候補者も交えて会話します。この会社が今後どんなことをするのか、どういうことを、どんな風に会話しているのか。そうした雰囲気を掴んで欲しいからです。
そして全社集会の後には大体サイゼリヤとか、どこかしらで食事するので、もし嫌そうでなければそういった場にも誘っています。月に1度は全社員で焼肉を食べに行くので、タイミングが合えばそういう時も一緒に誘っていますね。
一般的な企業の面接では、せいぜい面接の場に出てきた2〜3名としか会えません。「この3名だけが真人間で、残りは全員モヒカン雑魚みたいな人だったらどうしよう」と心配したことはありませんか。僕はいつも震えていました。
なので全員が集まる会に参加してもらって、包み隠さず弊社をさらけ出すことが、お互いを理解する上での近道だと考えています。
(もちろん守秘義務に触れないよう会話の内容は制限していますが・・・!)
真面目に採用活動してたら合格率が0.6%になった
こうした活動を経て、社員全員がOKを出さない限り採用には至りません。一人でもNGが出たら不採用です。
とはいえ不思議なもので、これまで最終面接で意見が割れたことがありません。全員OKか、全員NGのいずれか。まだ組織が小さいから意思統一できているのでしょうか。
ちなみに様々な求人媒体を経由して現時点で173名の応募があり、採用に至ったのは1名。合格率が0.6%。
この辺りで、さすがに僕も気づきました。
「あ、これは難易度あげすぎたわ」と。
でも、今のところ難易度を下げる予定はありません。
僕らは急成長して大金を稼いでイキり倒したい訳でも、豪遊したい訳でもない。モノづくりが好きな人が集まって、自分たちが誇れるものを作り続けたい。そんな会社としての姿勢が身の丈に合っていると思います。多分、億万長者になっても夜飯はサイゼリヤ一択だと思います。
採用面接へようこそ!
Prahaは「モノづくりが好きな人がモノづくりに集中できる環境を作る」事を重視しています。なので採用も、人事評価も、普通の会社と比較すると少し変わっているかもしれません。
でも、そんな制度を自分達で創意工夫しながら生み出せるのもスタートアップの楽しみです。足りないものは自分で考えて、自分で作る。会社の制度もモノづくりの一つとして、楽しみながら取り組んでいます。
この会社面白そうだな、リモートワーク良いな、ミラノ風ドリアこそ至高の究極食と思った、そこのアナタ!まずは気軽にカジュアル面談に来てみませんか!そして合格率をあげてくれ!せめて1%まで!
そして僕が愛してやまないサイゼリヤの採用情報も貼っておきます